ゴードンこーひー

20年前、歴史史上最安値のポンド当たり50セントを切りました。この時期をコーヒー危機(Coffee crisis)と呼び、生産コストをはるかに下回る価格で、農園放棄、労働者解雇などの社会問題になった出来事です。
そして現在(2019/8)、コーヒーの相場はポンド90セント台になっています。

なんだたかいじゃないかと思われるかもしれませんが、現在の100セントを切る相場は、20年前のコーヒー危機に匹敵するレベルの価格のようで、ブラジルを除くほとんどの生産国で生産コストを大きく下回っている状況のようです。

というのも
・産地の多くは発展途上国であり、毎年最低賃金が上昇し労働コストは上がり続けていること。
・肥料や農薬の大半が輸入品で、その価格も石油価格の上昇や為替の影響で年々上昇傾向にあること。
上記の理由で生産コストがかさみ生産者を苦しめているようです。

 ラテンアメリカ(ブラジルを除く)の生産コスト構造を大雑把にまとめると、

農園管理費35%
労働コスト35%
農薬肥料 25%
その他    5%


のようになるそうです。しかしこの割合はコモディティコーヒー(いわゆる普通のコーヒー)の場合であり、高品質のコーヒー生産者に至っては各種内訳に更に費用が嵩むことになります。
適切に熟したコーヒーの実だけを集めることはクリーンな味わいのコーヒーにする為には不可欠ですが、手摘みの収穫するピッカーの人手不足もあり、高品質な収穫を実現する為には腕の良い人材を適性な賃金で毎年雇用する必要があります。同じ賃金なら、適当に集めて量を集めたほうがピッカーにとっては収入になるからです。

このような状況で農園が疲れ切って、生産量が低下し、消費量の伸びに対してコーヒーが不足してコーヒー相場が上がり事態が終息したのが20年前。2020年代はどのような動きになるのでしょうか。大きな問題なく終息することを願います。