ゴードンこーひー

最近話題のゲイシャとは?
 最近いろいろなコーヒー屋で目を引く(価格的にも・・・)「ゲイシャ」。よく知らない人にとっては、日本人的に興味深い名称(芸者)や驚
異的な価格に驚くことも多いと思います。栽培国もパナマにはじまりコロンビア、コスタリカ、グアテマラetc・・と様々です。ではゲイシャ
とはなんなのか。それは栽培品種のことです。
 

ゲイシャ
 栽培品種といってもピンとおないかもしれませんが、なじみのあるものに例えるならばお米の“コシヒカリ” や“あきたこまち” といったら
イメージできるでしょうか。コーヒーではほかにも、“ブルボン” や“ティピカ”、“カツーラ” etc・・たくさんの品種があり、たくさん実のなる
種や病気に強い等それぞれの特徴を持っています。缶コーヒー等で「アラビカ種100%使用」と謳われている商品も見かけますが、アラビカ種
はお米で言えばジャパニカ種(日本の米)やインディカ種(タイ米等の細長い米)といった少し大きなくくりのことです。(アラビカ種はエチ
オピア原産で他の種に比べて風味が優れていいるといわれ、世界のコーヒー生産量の7〜8割を占めています。)
つまりゲイシャは「アラビカ種ゲイシャ」に分類されるということです。

ゲイシャの歴史
 1931年在エチオピア英国領事が南西部で耐病性(さび病)に優れたコーヒーを採取したと伝えられています。採種した場所はゲイシャと
呼ばれる地名でした。これがゲイシャの始まりです。その後、ケニアやタンザニアを経由し、1953年にコスタリカ、1978年にパナマへ
と渡りました。パナマでは耐病性の高さから一時は栽培が広がりましたが、背丈が高く、枝も長く伸び、収穫が大変なことや、その他のより栽
培しやすい品種の開発等で徐々にすたれてしまいました。当時も同種の風味や品質は確かめられていたはずなのですが、その頃の評価方法はブ
ラジル式の欠点が少ないものや、粒の大きさ、標高の高さでの格付けが主流であったため、正しく評価されていなかったと推測されています。
 

ゲイシャ!鮮烈なデビュー!
 1997年パナマ、エスメラルダ農園のプライス・ピーターソン氏がハラミージョ農園を取得し、米国帰りの息子ダニエル氏と農園内にある
品種調査を開始し、品種毎の品質確認を行いました。その中でまるでクリスマスツリーのようなゲイシャを発見します。ダニエル氏は米国のコー
ヒー会社で働き、その頃はじまりかけていたスペシャリティコーヒーの洗礼を受けていた(際立った個性を評価する)ので、ゲイシャの持つ華
やかな風味に驚き、評価したのでした。
しかしその風味は従来のパナマコーヒーの特徴である甘さ、ラウンドなマウスフィールを中心としたものとは大きく異なり、最初はかなり躊躇
していましたが、家族会議の結果、2004年「ベストオブパナマ品評会(BOP)」に“ハラミージョスペシャル” として出品することを決めた
のでした。そして2004年BOP はのちに「ゲイシャショック」として語られるほど大きな事件となったのです。
「まるでエチオピアのイルガチェフェのようなコーヒーがある!!」と審査会は騒然となったそうです。それが、エスメラルダ農園の出品した
ハラミージョスペシャルでした。結果は90点を超える超高得点で評価され見事優勝。オークションでの価格は21ドル/ ポンド、当時の平均
的なスペシャリティーコーヒーの10倍以上となりました。これには出品したプライス氏もハッカーがコンピューターを乗っ取って値段を操作
したのでは!?と疑った程の事件でした。その後も4年間にわたり、ハラミージョスペシャルは優勝し続け、2008年からは独自のエスメラ
ルダ農園オークションが開催されるまでになりました。
ゲイシャの現在
近年ではアジアの新しいバイヤーの出現によりゲイシャの価格もますます高値傾向、エスメラルダ農園を超える価格のゲイシャも登場している
ようです。パナマ以外の国でもラテンアメリカをはじめゲイシャが登場していているようですが、高騰した価格は品質とのバランスがうまく取
れていないとも感じることが多くあります。(アジアの新しい顧客の影響が大きいようです)
「ゴードンこーひー」ではまだゲイシャは扱ったことはありませんが、焙煎人としてはいずれ扱ってみたい高級食材でもありますが、お手頃で
素晴らしい素材もたくさんあるので、もう少し悩んでみます・・・。紹介するときにはその素晴らしい個性を適正価格でお届けできるようにい
たしますのでお楽しみに!! 
                                            ゴードンこーひー 河渡 太一