ゴードンこーひー

根強い人気のマンデリン
 


 クリーミーな口当たりと、コク。アーシーやハーバル、エキゾチック等と表現される独特のな香り。お店でもマンデリンは必ず買っていかれるお客様も多い、個性派のコーヒーです。(好き嫌いが極端に分かれるように感じます)
マンデリンとは?
 端的に言えば、「インドネシア・スマトラ島の北スマトラ州、アチェ州(タケンゴンを除く)で栽培されたアラビカコーヒー」となります。
 他のコーヒーには国名がついていることが多いため、「マンデリンはどこの国何でしょうか?」という質問もよく聞かれます。インドネシアは、スマトラ島、ジャワ島、バリ島、スラウェシ島etc、、と、多くの島から成り立っており、コーヒーも島ごとに個性的な風味特性を持っています。

 インドネシア全体のコーヒー生産量は約1000万袋、内の大半が缶コーヒーやインスタントコーヒーの原料となるロブスタ種であり、風味に優れたアラビカ種は全体の15%程の約150万袋、さらにマンデリンと呼ばれるスマトラアラビカは100万袋しか生産量がありません。

 さらにさらに、全生産量の10%ほどしかない、スマトラアラビカ「マンデリン」の中でも、最もスマトラらしい風味とコクを持つと言われるリントン地区産は3万袋、なんと全体の0.3%となります。


 
タノバタック
 
スマトラ島のトバ湖南部のリントンニフタ村があります。リントン周辺にはキリスト教を信仰するバタック族が居住し、コーヒーを中心とした農業を営んでいます。バタック族は、言語の違いによる6つ民族(トバ族、カロ族、シマルングン族、パッパク族、マンデリン族、ニアス族)から成り立っています。名称である「タノバタック」は「民族の大地」を意味します。

 様々な民族からなるバタック族にとって、コーヒーは共通の重要な農産物です。伝統的なスマトラ式での精選方法を代々受け継いでいます。火山灰土壌、有機物に富んだ肥沃な土壌とマメ科植物をシェードツリーとし(窒素固定)、肥沃度や土壌水分の安定の為のマルチング、手作業による除草、牛豚の排泄物+コーヒーパルプ+雑草を原料としたコンポストに化学肥料を年間1、2回施肥し、理想的な環境下で栽培しています。

 コーヒーの樹から収穫された、熟したチェリーを、各農家が木製のパルパーで皮むきし、パーチメントを10−12時間プラスチック桶で発酵処理します。その後、浮く未熟な豆と夾雑物(きょうざつぶつ*1)を除去、粘液質をきれいな水で洗い流し、天日乾燥します。輸出業者で再度乾燥された後、パーチメントは脱穀され、比重、大きさ、ハンドピックで選別され、良い風味を出すよう最良の状態に仕上げます。

 全体の0.3%しかないリントン地区の中でもインポーターが探してくださったタノバタックの風味は、マンデリン特有のハーブ系の風味に加え、豊かな質感がバターのようです。もちろん大切にしていることですが、雑味が少なくクリーンな風味をお楽しみいただけます。

*1夾雑物(きょうざつぶつ) 豆類の中に混じっている種々雑多な異物のことをいい、植物の茎(くき)、莢(さや)、枝葉、その他雑草種子、石、泥砂、虫などのこと。

 最近のマンデリンの動向
 インドネシアのアラビカコーヒーは最近、米国を筆頭に需要が増加しており価格上昇の原因にもなっているようです。そんな中で確固たる個性をもったスマトラ豆は2つの原因で減少傾向にあるようです。

1・高い価格の豆に安価な豆を混ぜてしまうこと。
2・輸送、精製処理がきれいに仕上げるようになったこと。

 1のげんいんに関しては、流通体制において継続的な調達を通じ、時間をかけて現地との信頼関係を築くしか方法がないようです。現地にいきなり入って行き、高品質な豆をつかめることはまずなく、タノバタックのような素晴らしい素材を調達できるインポーターの仕事ぶりに感謝しかありません。
 
 2の原因は面白いもので、現地における設備が整ってきたことで、特に乾燥処理等、ビニールハウスで綺麗に処理できることが影響しているようです。インポーターのお話の中で、スマトラの伝統的な処理法でなくグアテマラ等で行われている、一般的な水洗式で処理されたマンデリンは個性が薄くなってしまった。とのことです。(もちろんクリーンカップは上がるとのことですが。)数少ないマンデリンの中から、個性を持ち、かつクリーンカップの素材を使えている事はとてもありがたいことのようです。

マンデリン・タノバタックはこちら

スマトラ リントン スペシャル タノバタック
栽培地:スマトラ島リントン地区
標高:1,400〜1,600m(斜面の多い山岳地帯)
土壌:火山灰土壌、豊富なミネラルを含む肥沃な大地
生産処理:伝統的なスマトラ式